小学生のみなさんへ 4年生・5年生・6年生用

I.宮田用水400年の歴史

1603年、徳川家康が征夷大将軍(せいいだいしょうぐん)に任命され江戸時代が始まりました。

1608年(慶長(けいちょう)13年)、徳川家康は当時の尾張藩主徳川義直(よしなお)(第9子)に命じ、大量に伐採(ばっさい)した木曽檜(ひのき)を流送輸送するため、また木曽川は乱流河川であったため尾張平野を洪水から守るため、あるいは当時大阪城にあった豊臣方に対する防御線として、「御囲堤(おかこいてい)」という連続堤(つつみ)を築造(ちくぞう)させました。御囲堤は、木曽川整備の一環として作られた堤防で、距離は犬山から海岸まで12里(約47km)におよび2年という非常に短い期間で作られており、現在のような機械や道具のない時代にしてはすごい労力だったと思われます。

ただ、問題が1つありました。堤防が作られることにより今まで川を水源として使ってきた取水口(しゅすいこう)が閉めきられてしまい、水源がなくなってしまうということでした。そこで水田などの用水を確保するため新たに取水口を設けました。そしてそれを現在一宮市を流れる大江川に連結して出来たものが宮田用水の始まりとされています。(尚、大江川が整備されるまでをマンガ化して書いたものがあるのでご一読(いちどく)下さい。)

II.宮田用水の近代化(きんだいか)

最初の取水口ができて以降 180年の間に、洪水(こうずい)による土砂の堆積(たいせき)などにより取水ができなくなり、取水口を上流へ上流へと4回移動させました。そして、現在では1962年(昭和37年)に国の農林水産省(のうりんすいさんしょう)で作られた犬山頭首工(いぬやまとうしゅこう)(犬山城北側の木曽川の中に取水しやすいように作られた水をせき止める施設)から取水しています。

どうやって水を配っているかというと、犬山頭首工でせき止めた水を取水口から取り入れ、国で作られた水路(犬山から江南市宮田町の宮田用水中央管理所まで約10km)を通り大江川を始めとする三幹線に送水し各地域(最下流は名古屋市南陽町(なんようちょう)まで)へ配水します。

ここでまた問題が起きました。明治維新(めいじいしん)以後、特に昭和の時代に入ると急速に産業が発展し都市化が進んだことにより用水が汚(よご)されるという問題です。

もともと農業用の用水路として使っていた水路でしたが、家や工場が建つことにより、その水路内に生活排水や工場排水を流すようになった(用排兼用水路(ようはいけんようすいろ)という)ことと、ゴミを水路内に捨てたりして用水を使っている農家の人々を困らせました。

工事前 工事後

そこで、1969年(昭和44年)から国営事業(こくえいじぎょう)(国の政策)により、用水路と排水路を分ける工事が行われ、今まで使っていた用排兼用水路は排水路となり、用水路は新たに管水路(かんすいろ)(パイプライン)として地中に埋まってしまい用水路の流れる様子は見られなくなってしまいました。それでも水田近くの水路では、その管水路から出た木曽川の水が流れており、水に触れることはできるし、アユ、コイ、オイカワ、ウグイといった魚たちを見ることもできます。

こうして、用水の水質汚染(すいしつおせん)の問題は解消されました。残された排水路は現在もまだ汚いままのところがほとんどですが、こちらもゴミの投(とう)きや悪臭(あくしゅう)を防止するといった生活環境を守るため県営事業(愛知県の政策)により排水路のフタ掛けなどの工事を順次行っております。

III.農地(水田)の役割

日本の地形は山から海までの距離が短く急なため、山でたくさん雨が降ってもすぐに海へ流れ出てしまい、しばらく雨が降らないと川の水はあっという間に少なくなってしまいます。

しかし、水田は水を流すことによって次のような役割を果たしています。

(1)水田は小さな「ダム」の役割をしています台風が来たり、集中豪雨(ごうう)で大雨が降ったとき、水田の1つ1つが畦(あぜ)で区切られており、水を溜(た)め、一度に流れ出るのを防ぐ「ダム」の役割をしています。もし水田がなくなれば一度にたくさんの水が流れ出し、道にあふれ道路や家を壊してしまうこととなります。

(2)環境保全(ほぜん)の役割をしています水田に溜められた水は地下にしみこんで地下水となります。この地下水は人の飲み水や工場で使われる水となったり、水田や畑地の水としても利用されております。

水田の水は、稲を育てると共に、光合成(こうごうせい)(植物のエネルギーを作り出す仕組み)により空気もきれいにしています。また、水路や水田の中あるいはその周辺には魚を始めいろいろな水中生物や昆虫、草花などが生きており、生活環境だけでなく自然環境を守る重要な役割を果たしております。

最近、木曽川を始めとする河川あるいは用水路、排水路に不法(ふほう)に捨てられる缶、ビニールといった生活ゴミやコンクリート、プラスチックなどの産業廃棄物(はいきぶつ)が増え、その環境が壊されようとしており、人間としての道徳、マナーが問われており、今後これ以上環境が破壊されないよう1人1人が環境保護を認識(にんしき)していく必要がある。

IV.農村と都市の調和(ちょうわ)と共生(きょうせい)を図り住み良い環境を作るために

水を取水するのに一番必要な施設である犬山頭首工もできてから30年も経(た)っておりいろいろな機能(きのう)が低下してきました。また、大江川(大江排水路)も地域の都市化の進行などによって排水能力が低下しているため、大雨による洪水(こうずい)の危険が増大している。これらの問題を解消すべく、国(農林水産省)の事業で犬山頭首工の補修(ほしゅう)工事(こうじ)また大江川の改修工事(かいしゅうこうじ)を現在行っている最中であり、特に大江川の改修工事については魚などの生物が生息(せいそく)できるような環境保護を考えた工事方法で行っており、また川の近くには緑道や公園を新たに作ることで、少しでも自然を守り地域住民が健康で住みやすい生活環境を作ろうという取り組みを行っております。

宮田用水土地改良区としても、水を守り農地を守っていくことで食糧生産(しょくりょうせいさん)だけでなく自然環境や生活環境の保全に役立ちたいと考えております。

V.その他(参考)

《宮田用水土地改良区の概要(がいよう)》

宮田用水は木曽川から取水した水を一宮市を始めとする5市13町の約6,554ha(ヘクタール)の水田(これを受益地(じゅえきち)といいます)に水を配っています。

それぞれの市町の受益面積と組合員数は次のとおりです。

平成20年11月1日現在

市町名 一宮市 稲沢市 津島市 名古屋市 清須市 愛西市 北名古屋市
受益面積(ha) 1,877.50 1,963.20 423.6 575 87.6 141.3 7.1
組合員数(人) 9,612 7,513 1,228 2,292 706 517 89
市町名 春日町 七宝町 蟹江町 大治町 甚目寺町 美和町
受益面積(ha) 57.3 287.8 108.2 98 168.2 318.9 6,113.80
組合員数(人) 348 1,123 649 607 1,223 1,169 27,076

用水は、稲を作る時期(4月〜9月)に必要で、1秒間に 5.38m3(リッポウメートル)から最大では 26.82m3もの水を犬山頭首工から取り入れ配水しております。

水を配ったり水路の管理をしている団体は「宮田用水土地改良区」といい、事務所は稲沢市稲沢町北山178 番地(名鉄国府宮駅から西側へ歩いて約15分程)にあり、その管理施設として中央管理所(江南市宮田町藤ノ森65番地)があります。

1m3の水とはどのくらいの量だろう?

施設の管理

宮田用水土地改良区ではこんな施設を管理しています。

用水路 35路線(総延長329km)
旧水路(排水路) 28路線(総延長170km)
分水口 国営分 350か所、県営分 2,000か所
遠方監視制御装置  
除塵機  
揚水機 71か所
樋門及び立切 23か所

宮田用水土地改良区事務所地図 宮田用水土地改良区中央管理所地図

米づくりカレンダー

近年の用水路整備により、米の収穫は大きくあがりました。